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うつ病の学会発表の話

2025-04-13

おはようございます。
とみ鍼灸治療院の松葉です。

今回は、私がまだ鍼灸師になって2年目の頃に経験した、ちょっと苦く、でも今に活きているお話をさせていただきます。

 

当時、私は鍼灸学校の卒後研修制度を利用しながら、病院に勤務していました。

週に1回、夕方18時から20時半まで、母校の付属治療所で患者さんの施術を行い、教員の先生から治療法や方針について学ばせていた

だいておりました。

 

その学校では、3ヶ月に1度、卒業生や学生向けに学会形式の発表会がありました。

私はそこで「耳鳴りの鍼灸治療」について発表させていただくことになったのです。

実は前年も「肘の痛みの治療」で発表したのですが、質問攻めにあってタジタジに…。

悔しさをバネに、今年こそはとしっかり準備を重ねて臨みました。

 

ところが、発表数日前に驚きの情報が飛び込んできました。

なんと、当日には経絡治療学会の会長・N先生もご登壇されるとのこと。

テーマは「東洋医学について」。

当然、会場は大盛況。発表者の私たちにとっては、かなりのプレッシャーでした。

N先生が1番目に発表し、私の出番は3番目。

 

2番目は、私と同じ研修生が担当し、「うつ病に対する鍼灸治療」というテーマでした。

 

当時、「うつ病に鍼灸が効く」とは言われていたものの、具体的な治療法についてはまだあまり知られていませんでした。

そのため、期待も高まっていたと思います。

 

しかし、いざ発表が始まると――

 

長々と「うつ病の症状」や「要因」について説明されたあと、肝心の治療内容はというと…

「肩こりの治療でした。」

 

正直、私は心の中で「えっ…?」と声が出ました。

 

当然、会場からも「うつ病の治療はしてないんですか?」という直球の質問が飛びました。

 

するとその方は一言、

 

「してません」と。

 

その瞬間、会場全体がため息に包まれ、席を立つ人も続出しました。

 

私は心の中で叫びました。

(待ってくれ、まだ私の発表が残ってるんや…!)

 

発表を終えたその方は「肩こりの治療を行った」という内容で締めくくられましたが、

私の番には、すでに空席が目立っていました。
(せっかくあんなに準備したのに…)

 

それから年月が経ち、私もうつ病に対する鍼灸治療について、

本を読み漁り、文献を探し、治療法を模索し続けてきました。

そしてある時、ふと気づいたのです。

 

うつ病は、首や肩の慢性的なコリ――特に後頭下筋群(こうとうかきんぐん)と呼ばれる深部の筋肉――に長期間負担がかかることで、脳

にダメージが蓄積された状態であることがあるのです。

 

もちろん、うつ病の原因はこれだけではありません。

しかし、首や肩のコリが深く関わっているケースは非常に多いということが、経験的にも研究的にもわかってきました。

 

そう考えると――
15年前、会場中から冷たい視線を浴びた「肩こりの発表」は、実は間違いではなかったのです。

とはいえ、「うつ病の鍼灸治療」と銘打っておきながら、実際には肩こりしか治療していなかったとなると、

納得いかない人も多かったのは当然です。

 

しかし、今になってようやく言えます。

うつ病と首肩の慢性コリは、無関係ではありません。

もしもあなたや、身近な方が、

「気分が落ち込む」「疲れが抜けない」「やる気が出ない」と感じていて、

なおかつ首や肩のコリを感じているのなら――

それは身体からの大切なサインかもしれません。

 

うつ病の鍼灸治療について、もっと詳しく知りたい方は、別の記事もぜひご覧ください。

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