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うつ病の学会発表の話
おはようございます。
とみ鍼灸治療院の松葉です。
今回は、私がまだ鍼灸師になって2年目の頃に経験した、ちょっと苦く、でも今に活きているお話をさせていただきます。
当時、私は鍼灸学校の卒後研修制度を利用しながら、病院に勤務していました。
週に1回、夕方18時から20時半まで、母校の付属治療所で患者さんの施術を行い、教員の先生から治療法や方針について学ばせていた
だいておりました。
その学校では、3ヶ月に1度、卒業生や学生向けに学会形式の発表会がありました。
私はそこで「耳鳴りの鍼灸治療」について発表させていただくことになったのです。
実は前年も「肘の痛みの治療」で発表したのですが、質問攻めにあってタジタジに…。
悔しさをバネに、今年こそはとしっかり準備を重ねて臨みました。
ところが、発表数日前に驚きの情報が飛び込んできました。
なんと、当日には経絡治療学会の会長・N先生もご登壇されるとのこと。
テーマは「東洋医学について」。
当然、会場は大盛況。発表者の私たちにとっては、かなりのプレッシャーでした。
N先生が1番目に発表し、私の出番は3番目。
2番目は、私と同じ研修生が担当し、「うつ病に対する鍼灸治療」というテーマでした。
当時、「うつ病に鍼灸が効く」とは言われていたものの、具体的な治療法についてはまだあまり知られていませんでした。
そのため、期待も高まっていたと思います。
しかし、いざ発表が始まると――
長々と「うつ病の症状」や「要因」について説明されたあと、肝心の治療内容はというと…
「肩こりの治療でした。」
正直、私は心の中で「えっ…?」と声が出ました。
当然、会場からも「うつ病の治療はしてないんですか?」という直球の質問が飛びました。
するとその方は一言、
「してません」と。
その瞬間、会場全体がため息に包まれ、席を立つ人も続出しました。
私は心の中で叫びました。
(待ってくれ、まだ私の発表が残ってるんや…!)
発表を終えたその方は「肩こりの治療を行った」という内容で締めくくられましたが、
私の番には、すでに空席が目立っていました。
(せっかくあんなに準備したのに…)
それから年月が経ち、私もうつ病に対する鍼灸治療について、
本を読み漁り、文献を探し、治療法を模索し続けてきました。
そしてある時、ふと気づいたのです。
うつ病は、首や肩の慢性的なコリ――特に後頭下筋群(こうとうかきんぐん)と呼ばれる深部の筋肉――に長期間負担がかかることで、脳
にダメージが蓄積された状態であることがあるのです。
もちろん、うつ病の原因はこれだけではありません。
しかし、首や肩のコリが深く関わっているケースは非常に多いということが、経験的にも研究的にもわかってきました。
そう考えると――
15年前、会場中から冷たい視線を浴びた「肩こりの発表」は、実は間違いではなかったのです。
とはいえ、「うつ病の鍼灸治療」と銘打っておきながら、実際には肩こりしか治療していなかったとなると、
納得いかない人も多かったのは当然です。
しかし、今になってようやく言えます。
うつ病と首肩の慢性コリは、無関係ではありません。
もしもあなたや、身近な方が、
「気分が落ち込む」「疲れが抜けない」「やる気が出ない」と感じていて、
なおかつ首や肩のコリを感じているのなら――
それは身体からの大切なサインかもしれません。
うつ病の鍼灸治療について、もっと詳しく知りたい方は、別の記事もぜひご覧ください。
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