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残したら怒鳴られる中華料理屋

2026-05-10

おはようございます。
とみ鍼灸治療院の松葉です。

治療の話ばかり続くと少し肩がこると思いますので、

今日は箸休めに、私が大学時代に“時々”通っていた中華料理屋の話を書きたいと思います。

 

なぜ「よく」ではなく「時々」なのか。

 

それは、その店が信じられないくらい汚かったからです。

 

どれくらい汚いかと言うと、

壁は油でこげ茶色。
メニュー表もベタベタ。
床には何年分かわからないゴミ。
イスですら「本当に座って大丈夫か?」と思うレベル。

食べ終わったあと、思わず手を洗いたくなる店でした。

 

実際、後輩や先輩数人で行った時などは、

食べ終わった先輩が一言。

「一生ごちそう様やわ(二度と来ん)」

 

みんな妙に納得していました。

その店は某中華チェーン系の店だったのですが、

あまりのボロさから、学生の間では「ボロ将」と呼ばれていました。

 

後に看板も変わっていたので、色々事情があったのでしょう。

 

そりゃそうです。

 

ただ、不思議な事に店はそこそこ繁盛していました。

 

理由は単純。

安い。
とにかく安い。

普通の中華料理屋の半額くらいで、量も多い。

しかも味は意外と悪くない。

お金がない学生にとっては、まさに命綱のような店でした。

 

しかし、この店には絶対に破ってはいけないルールがありました。

 

それは「お残し禁止」です。

 

もし食べ残そうものなら、

50代くらいの強面の店主の怒号が店内に響き渡ります。

「お金払うから帰らせてください!」

「アカン!!おっちゃん儲けないのにやってんねん!残さず食えっ!!」

店内は一瞬で凍りつきます。

私も初めて行った時、天津飯の大盛りを頼んだのですが、

店主に低い声でこう言われました。

 

「……食えんのか?」

 

その目つきが完全にチンピラ。

私はビビりながらも、

「だ、大丈夫です」

と答え、必死で完食しました。

 

ただ、後から聞いた話によると、

 

店主の奥さんが

「儲からないから値上げしたら?」
と言った時、

店主は

「値上げはアカン。学生のために、この値段でいく」

と言ったそうです。

そして、それが原因で離婚したとか。

 

その話を聞いた時、

「めちゃくちゃ良い人やん……」

と思いました。

 

そんなある日。

夜ご飯の時間帯に店へ行くと、

教授らしき男性が一人でビールと唐揚げを食べていました。

 

そしてその教授、やたらと店主を褒めるのです。

「キャベツ甘いわ〜」

「この値段でこのクオリティはすごい」

「ほんま頑張ってるなぁ」

店主は完全に上機嫌。

そして突然、

「今日はサービスや!!オレの自信作、食べていけ!」

と言って、餃子焼き器で巨大なお好み焼きを焼き始めたのです。

いや、デカすぎる。

たぶん3人前。

ピザのLサイズくらいありました。

教授も途中から顔が引きつっていました。

「い、いやいや、お金払うからそんな大きくせんでええって!」

 

「オレの気持ちや」

店主は止まりません。

おそらく教授も知っていたのでしょう。

“この店で残すと終わる”という事を。

 

そして数分後。

少し焦げた巨大なお好み焼きが教授の前に置かれました。

教授、完全に泣きそうな顔。

 

私達が食べ終わって帰ろうとすると、

教授は藁にもすがるような顔で言いました。

「君たち……少し食べないか?」

 

しかし私達も腹いっぱい。

「すみません、もう無理です」

教授はガクッと肩を落としていたのを今でも鮮明に覚えております。

その後どうなったのかは知りません。

 

でも今思うのです。

あの店主、たぶん不器用だっただけなんですよね。

儲けよりも学生。

利益よりも満腹。

 

今の時代なら絶対に経営としては間違っているのかもしれません。

 

でも、自分を犠牲にしてでも誰かのために動く。

 

それを本気でやれる人でした。

 

私も患者様のために何が出来るのか。

もっと考えていかないといけないなと思います。

もちろん、院内は清潔に保ちながら(笑)

 

最近、大学の近くへ行く用事があり、

久しぶりにあの場所を通ってみました。

でも店はもうなく、マンションになっていました。

あの店主、今頃元気にしてるのかな。